遺品整理 いつから始める?

遺品整理 いつから始める?失敗しないための時期と進め方をプロが解説

遺品整理 いつから始める?

遺品整理をいつから始めれば良いのか、多くの方が悩む問題です。故人を悼む気持ちと、現実的な手続きや片付けが迫り、最適なタイミングを見つけるのは簡単ではありません。
この記事では、遺品整理を開始する一般的な時期の目安などを参考に、ご自身の状況や気持ちに合わせたベストな開始時期を見極めるヒントが網羅されています。誰がどのように進めるべきか、そして後悔しないための注意点まで詳しく解説します。

目次

遺品整理を始める一般的な時期は?ケース別で解説

ご遺族の状況や故人の住居環境、法的な手続きの期限など、様々な要因が絡み合って最適な時期は各々異なります。ここでは、遺品整理を始める一般的な時期の目安を、具体的なケース別に解説します。

遺品整理開始時期の目安
時期の目安 亡くなってからの期間 関連する手続き・イベント 主な特徴
諸手続き後 1週間~1ヵ月程度 死亡届提出、葬儀、役所手続き(世帯主変更など) 葬儀などが一段落。賃貸物件の退去期限が迫る場合など。
四十九日法要後 40~50日程度 四十九日法要、納骨 仏教的な区切り。親族が集まり相談しやすい。
相続放棄期限前 3ヵ月以内 相続放棄・限定承認の申述期限 相続放棄を検討する場合、財産調査が必要。
相続税申告期限前 7~8ヵ月程度 相続税の申告・納付期限(10ヵ月以内) 相続財産の評価・確定のため。
気持ち・状況が落ち着いた時 特になし 特になし 精神的な負担を考慮。手続きなど期限を考慮する必要がない場合。

諸手続きが済んだ1週間後~1ヵ月程度

故人が亡くなった直後は、死亡届の提出や葬儀の手配、関係各所への連絡など、やらなければならない手続きが数多くあります。これらの一連の諸手続きが一段落する、亡くなってから1週間後から1ヵ月程度を目安に遺品整理を始めるケースがあります。

特に、故人が賃貸住宅に住んでいた場合、賃貸借契約の解約や家賃発生の問題から、早めに遺品整理を進める必要が出てきます。退去期限が迫っている場合は、このタイミングで遺品整理を開始、あるいは専門業者への依頼を検討することになります。ただし、精神的な負担が大きい時期でもあるため、無理は禁物です。

四十九日法要後(亡くなった後40~50日程度)

仏教において、故人の魂が旅立つとされる四十九日は、忌明けの節目とされています。この四十九日法要が終わったタイミング(亡くなってから40~50日程度)は、精神的な区切りがつきやすく、遺品整理を始めるきっかけとして選ばれることが多い時期です。

法要には親族が集まることも多いため、遺品整理の進め方や形見分けについて相談しやすいという利点もあります。気持ちの整理をつけるという意味でも、この時期は一つの目安となるでしょう。

相続放棄の期限目安(亡くなった後3か月以内)

故人に借金などのマイナスの財産が多い場合、相続放棄を検討することがあります。相続放棄の手続きは、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所で行う必要があります。

相続放棄をするかどうか判断するためには、故人の財産状況を正確に把握しなければなりません。そのため、遺品整理を通じて借用書や請求書、価値のある財産がないかなどを確認する必要が出てきます。したがって、相続放棄を検討している場合は、この3ヶ月という期限が一つの目安となります。

ただし、遺品を勝手に処分したり形見分けしたりすると、「単純承認」とみなされ相続放棄ができなくなる可能性があります。相続放棄を考えている場合は、遺品の取り扱いに十分注意し、必要であれば弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続税の申告期限前(亡くなった後7~8ヵ月程度)

相続する財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納付が必要になります。この相続税の申告・納付期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。

遺品の中には、骨董品や貴金属、美術品など、相続財産として評価・計上しなければならないものが含まれている可能性があります。正確な相続財産を確定させるためにも、申告期限に間に合うように遺品整理を終えておく必要があります。申告準備には時間がかかるため、余裕をもって、亡くなってから7~8ヵ月頃までには遺品整理に着手、あるいは完了しているのが望ましいでしょう。

気持ちや状況が落ち着いたタイミングで

法的な期限や賃貸契約などの制約がない場合は、ご遺族の気持ちや状況が落ち着き、遺品と向き合えるようになったタイミングで始めるのが最も良い選択と言えます。故人を失った悲しみはすぐには癒えません。無理に遺品整理を進めても、精神的な負担が大きくなるばかりです。

「いつまでにやらなければならない」という明確な期限がないのであれば、焦る必要はありません。ご自身のペースで、少しずつ故人との思い出を整理していく時間を持つことも大切です。ただし、長期間放置することによるデメリット(家賃の発生、家の劣化、害虫・害獣被害など)も考慮に入れる必要はあります。

自分の選択したい時期に遺品整理を始められないケース

自分の選択したい時期に遺品整理始められないケース

遺品整理は、故人を偲び、気持ちを整理するためにも大切な作業ですが、必ずしもご自身の希望するタイミングで始められるとは限りません。様々な事情により、時期が制約されたり、先延ばしにせざるを得なかったりするケースがあります。ここでは、そうした具体的なケースについて解説します。

賃貸物件の退去期限が迫っている場合

故人が賃貸住宅にお住まいだった場合、賃貸借契約に基づく退去期限が、遺品整理の時期を決定づける最も大きな要因となります。契約内容にもよりますが、通常、賃借人が亡くなった後も契約が自動的に終了するわけではなく、相続人が契約を引き継ぐか、解約手続きを行う必要があります。解約する場合、多くは1ヶ月前後の解約予告期間が設けられており、その期間内に部屋を空にして原状回復を済ませなければなりません。

退去期限を過ぎてしまうと、新たな家賃が発生したり、遅延損害金を請求されたりする可能性があります。そのため、賃貸物件の遺品整理は、他のケースに比べて時間的な制約が厳しく、速やかな対応が求められます。まずは賃貸借契約書を確認し、解約手続きや退去期限、原状回復の範囲などを正確に把握することが重要です。期限内に作業を完了させるのが難しい場合は、遺品整理業者への依頼も視野に入れる必要があります。

相続人間で意見がまとまらない場合

遺品整理は、相続人全員に関わる問題です。誰が中心となって進めるのか、費用は誰が負担するのか、遺品の分配はどうするのかなど、相続人全員の合意形成が不可欠です。しかし、相続人間で考え方や価値観が異なると、意見がまとまらず、遺品整理をなかなか始められないことがあります。

例えば、「まだ気持ちの整理がつかないから手を付けたくない」という方もいれば、「早く片付けてすっきりしたい」という方もいるでしょう。また、特定の遺品を誰が引き取るかで揉めてしまうケースも少なくありません。こうした意見の対立が長引くと、遺品整理が進まないばかりか、相続人間の関係が悪化してしまう恐れもあります。まずは、相続人全員でしっかりと話し合いの場を持ち、お互いの気持ちや考えを尊重しながら、協力して進めていく姿勢が大切です。いつまでも合意が取れない場合は、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

不動産や家財道具に抵当権が設定されている場合

故人がローンや借金の担保として不動産(家や土地)や家財道具に抵当権を設定していた場合、債権者(銀行や金融機関等)がその財産を差し押さえる権利を持っています。遺品整理を始める前に、抵当権の状況を確認し、債権者との調整や承認が必要になることがあります。

抵当権が設定された家財や財産は、抵当権に関する規定(民法369条など)に抵当権者(金融機関等)の権利が定められており、これを無断で処分すると、抵当権者の権利を侵害し、担保価値の減少に対する損害賠償を請求される可能性がありますので注意しましょう。

おすすめする遺品整理を始める時期

遺品整理をいつから始めるべきか、その「ベストな時期」は一概に断定できるものではありません。なぜなら、故人様との関係性、ご遺族の皆様の精神的な状態、物理的な状況、そして法的な手続きの期限など、考慮すべき要素が多岐にわたるからです。しかし、いくつかの判断基準や状況に応じた推奨時期を知っておくことで、後悔の少ない、よりスムーズな遺品整理を進めることが可能になります。

前の章でご紹介した一般的な時期を踏まえつつ、ここではより具体的に、どのような状況でどのタイミングを検討するのが望ましいか、プロの視点から解説いたします。

状況に応じたベストタイミングの見極め方

遺品整理の開始時期を決定する上で最も分かりやすい指標は、片づける物件が賃貸なのか、持ち家なのかという点です。賃貸物件の場合は退去期限があるためなるべく早めの片付けの必要が出てきます。一方で持ち家の場合は特に退去期限などがないので、ご遺族のお気持ちが落ち着いてからでも問題がないでしょう。ただし、相続手続きの期限なども存在しますので、ご自身の状況を客観的に見極め、最適なタイミングを探ることが肝心です。

賃貸の場合

賃貸物件では、契約上の制約や退去期限が大きく影響するため、迅速な対応が求められることが多いです。
具体的には無くなられて1週間~四十九日前後まで(退去期限前) にするとよいでしょう。賃貸契約には通常、解約予告期間(1~2か月)が設定されています。ちょうど四十九日あたりでしょうか。これを目安に退去期限に間に合うよう、余裕を持って整理を始めるのが理想です。放置すると家賃が発生し続けるため、早めに整理することで経済的負担を軽減できます。

持ち家の場合

持ち家では賃貸のような退去期限がないため、タイミングはご遺族の精神的状況に左右されます。ただし、相続手続きが絡む場合は注意が必要です。
具体的なベストなタイミングは四十九日後~相続手続き開始後(3~6か月以内)がよいでしょう。 相続手続き(遺産分割協議や相続放棄)は、故人の死後3か月以内に進める必要があります(相続放棄の熟慮期間)。特に相続放棄をする場合は個人が亡くなった後3ヶ月以内に手続きをする必要があります。遺品整理を始める前に、相続財産(不動産や貴重品の他、負債も要確認)の状況を把握しておくとトラブルを防げます。

持ち家の場合、急ぐ必要がない一方で、法的な手続きを気にする必要があります。相続関係の他、不動産や家具に抵当権が設定されている場合などは期限が発生するケースがあるので、気を付けましょう。

遺品整理は誰がやるべき?

遺品整理は誰がやるべき?

故人の残した品々を整理する遺品整理は、誰が主体となって行うべきか迷うことがあります。法的な責任と、実際に作業を行う担当者は分けて考える必要があります。

相続人が行うのが一般的

遺品整理の責任は、原則として故人の財産を相続する権利と義務を持つ「相続人」にあります。遺品は、現金や不動産などと同様に相続財産の一部とみなされるためです。法定相続人が複数いる場合は、全員で協議し、協力して進めるのが基本となります。遺言書で財産の受取人が指定されている場合は、その受遺者が相続人と同様の責任を負うこともあります。いずれにしても、相続放棄をしない限り、相続人には遺品を適切に管理・処分する責任が生じます。

実際に作業をするのは誰か?2つのパターン

遺品整理の責任者が相続人であるとしても、実際に手を動かす作業者は状況に応じて異なります。大きく分けて、相続人自身が行うパターンと、専門業者に依頼するパターンの2つが考えられます。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選択することが重要です。

作業パターン 主なメリット 主なデメリット 向いているケースの例
自分で行う 費用を抑えられる、故人を偲びながら整理できる、自分のペースで進められる 時間と労力がかかる、専門知識がないと価値を見誤る可能性、不用品の処分が大変、精神的な負担が大きい 遺品の量が少ない、時間に十分な余裕がある、手伝ってくれる親族がいる、費用をできるだけ抑えたい
業者に依頼する 時間と労力を大幅に節約できる、専門知識に基づいた適切な仕分け・買取・処分、精神的な負担が軽減される、遠方に住んでいても依頼可能 費用がかかる、信頼できる業者を選ぶ必要がある、悪徳業者に注意が必要 遺品の量が多い、仕事などで時間がない、遠方に住んでいる、体力的に作業が難しい、価値判断や処分に困る品がある

自分で行う際の注意点

ご自身で遺品整理を進める場合、いくつか注意すべき点があります。費用を抑えられる反面、相続人間でのトラブルや、後悔につながる可能性も潜んでいるため、慎重に進める必要があります。特に、相続人が複数いる場合は、独断で作業を進めないことが鉄則です。

ご自身で遺品を「箱詰め」や「袋詰め」してしまう際の注意点

良かれと思って遺品を整理し、箱や袋に詰めてしまう行為には注意が必要です。一見片付いたように見えても、価値のある品物とそうでない物が混在してしまい、後の査定や形見分けの際に不都合が生じるケースがあります。例えば、骨董品や貴金属が他の不用品と一緒にまとめられてしまったり、重要な書類が写真や手紙と混ざってしまったりすると、専門家による査定額が下がったり、必要なものを見つけ出すのに余計な手間がかかったりする可能性があります。もし後で業者に買取や整理を依頼する可能性が少しでもあるなら、無理に箱詰めなどはせず、ある程度そのままの状態で専門家に見てもらう方が賢明な場合もあります。

遺族の合意が得られていないケース

相続人が複数いるにも関わらず、一部の相続人が他の相続人の合意を得ずに勝手に遺品整理を進めてしまうと、深刻なトラブルに発展する危険性があります。形見として希望していた品物を勝手に処分された、価値のある遺品を独断で売却してしまった、といったことが起これば、親族間の信頼関係に亀裂が入る可能性があります。遺品整理を始める前には、必ず相続人全員で話し合いの場を持ち、誰が中心となって進めるのか、いつ頃までに終えるのか、どのような基準で遺品を分けるのか(形見分け、換価、処分など)、費用負担はどうするのか、といった点を明確に決めておくことが、後のトラブルを防ぐために不可欠です。

遺品整理の進め方

遺品整理の進め方

遺品整理は、故人を偲びながら行う大切な作業ですが、同時に多くの時間と労力、そして精神的な負担を伴うことがあります。後悔なく、スムーズに進めるためには、事前の計画と正しい手順を踏むことが非常に重要です。ここでは、遺品整理を円滑に進めるための具体的なステップと注意点を解説します。

誰が行うかを決める | 自分でやるか、業者に依頼するか?

まず最初に、遺品整理を誰が主体となって行うかを決定する必要があります。主な選択肢は「自分たち(遺族)で行う」か、「専門の業者に依頼する」かの2つです。どちらを選ぶかは、遺品の量、家の広さ、作業にかけられる時間、ご自身の体力や精神的な状況、そして予算などを総合的に考慮して判断しましょう。

スケジュールを立てる

遺品整理は、思いのほか時間がかかる作業です。特に賃貸物件の場合は退去期限があるため、計画的に進めることが不可欠です。無理のない現実的なスケジュールを立てることが、途中で挫折しないための鍵となります。

スケジュールの立て方のポイントは以下の通りです。

  • 全体の期限を確認する: 賃貸物件の解約日、相続手続きの期限(相続放棄や相続税申告など)、売却予定日などを把握し、最終的な完了目標日を設定します。
  • 作業可能な日をリストアップする: ご自身や手伝ってくれる方の都合の良い日を洗い出します。週末しか作業できないのか、平日も可能なのかなどを考慮します。
  • 業者への依頼期間を考慮する: 業者に依頼する場合は、見積もり依頼、業者選定、契約、実際の作業日までの期間もスケジュールに含める必要があります。繁忙期は予約が取りにくいこともあるため、早めに動き出すことをおすすめします。
  • 予備日を設ける: 想定外の事態(探し物が見つからない、体調不良など)に備え、スケジュールには余裕を持たせ、予備日を設定しておくと安心です。

具体的なスケジュール表を作成し、関係者間で共有すると、進捗状況の確認や協力体制の構築に役立ちます。

処分するものと、残すものを決める

遺品整理において最も重要かつ、精神的にも負担のかかる作業が、遺品の仕分けです。故人の持ち物一つひとつに思い出が詰まっていることも多く、判断に迷う場面も少なくありません。事前に仕分けの基準をある程度決めておくと、作業が効率的に進みます。

一般的には、以下の3つに分類するとよいでしょう。

  • 残すもの(形見・貴重品・再利用品):
    • 形見: 故人を偲ぶ品、写真、手紙、日記、趣味の品など。
    • 貴重品: 現金、預貯金通帳、印鑑、有価証券、貴金属、不動産の権利書、保険証券、年金手帳など。これらは最優先で探し、安全な場所に保管しましょう。
    • 再利用品: まだ使える家電、家具、衣類、書籍などで、自分たちで使うか、リサイクルショップやフリマアプリで売却、寄付などを検討するもの。
  • 処分するもの(不要品・ゴミ):
    • 明らかなゴミ、汚れや破損がひどいもの、使用済みの消耗品、期限切れの食品など。
    • 再利用や売却が難しいと判断したもの。
  • 保留するもの(判断に迷うもの・相談が必要なもの):
    • すぐに判断がつかないもの、価値が不明な骨董品や美術品など。
    • 他の相続人と相談が必要なもの(形見分けの候補など)。

仕分け作業は、一部屋ずつ、あるいは棚や引き出し単位で区切って進めると、精神的な負担を軽減できます。また、長時間連続して行うのではなく、適度な休憩を挟みながら、無理のない範囲で進めましょう。判断に迷った場合は、無理に即決せず、「保留」の箱に入れて後日改めて考えるか、他の親族に相談するのが賢明です。

形見分けを行う場合は、誰が何を希望するかを事前にリストアップし、相続人間で公平に分配できるよう配慮することが、後のトラブルを防ぐために重要です。

作業を行う際の注意点

遺品整理の作業を実際に行う際には、自分で行う場合と業者に依頼する場合で、それぞれ注意すべき点があります。

自分で行う場合

  • 時間と労力の確保: 想像以上に時間と労力がかかることを覚悟しておきましょう。特に一軒家丸ごととなると、数週間から数ヶ月かかるケースも珍しくありません。
  • 精神的なケア: 故人の遺品に触れることで、悲しみや寂しさが込み上げてくることがあります。一人で抱え込まず、家族や友人と話したり、適度に休息を取ったりするなど、ご自身の心のケアも大切にしてください。
  • 体力的な負担への配慮: 重い家具の移動や長時間の作業は体に負担がかかります。無理をせず、複数人で協力したり、休憩をこまめに取ったりしましょう。腰などを痛めないよう注意が必要です。
  • 正しい分別と処分: ゴミの分別ルールは自治体によって異なります。自治体のホームページやパンフレットで確認し、ルールに従って正しく分別・処分しましょう。家電リサイクル法対象品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)やパソコンなどは、別途適切な処分方法が必要です。不法投棄は絶対にやめましょう。
  • 貴重品・重要書類の見落とし防止: タンスの引き出しの奥や裏、本の間、衣類のポケット、カバンの中、仏壇周りなど、思わぬ場所から貴重品や重要書類が見つかることがあります。処分する前には、必ず中身を念入りに確認する習慣をつけましょう。
  • 必要な道具の準備: マスク、軍手やゴム手袋、ゴミ袋(可燃・不燃・資源ごみなど分別用に複数種類)、段ボール箱、ガムテープ、油性ペン、カッターナイフ、ほうき、ちりとり、雑巾、洗剤など、作業に必要な道具を事前に準備しておくと効率的です。
  • 安全管理: ホコリが舞うためマスクを着用し、換気を行いましょう。重いものを運ぶ際は足元に注意し、脚立などを使う場合は安定を確認してから作業するなど、安全には十分配慮してください。

業者に依頼する場合

  • 信頼できる業者選び: 残念ながら、高額な料金を請求したり、不法投棄を行ったりする悪質な業者も存在します。複数の業者から見積もりを取り、料金体系やサービス内容、口コミなどを比較検討することが非常に重要です。
  • 見積もりの内容を精査する: 見積もりは、可能であれば訪問見積もりを依頼し、作業範囲、料金の内訳(基本料金、人件費、車両費、処分費など)、追加料金が発生するケースなどを書面で明確にしてもらい、納得いくまで説明を求めましょう。「見積もり無料」と謳っていても、キャンセル料が発生する場合があるので注意が必要です。
  • 契約内容の確認: 作業内容、料金、作業日時、キャンセル規定、保険の有無などが明記された契約書を必ず交わし、内容を隅々まで確認しましょう。クーリングオフ制度についても説明を受けておくと安心です。
  • 作業当日の立ち会いと指示: 可能であれば作業当日は立ち会い、残しておきたいものや探してほしいものを明確に伝えましょう。特に貴重品や思い出の品の扱いについては、事前にしっかりと打ち合わせておくことがトラブル防止につながります。すべて任せきりにせず、要所で確認を行うことが望ましいです。
  • 許認可・保険の確認: 家庭ごみを回収するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。また、遺品整理に伴い発生した不用品を買い取る場合は「古物商許可」が必要になります。これらの許認可を業者が取得しているか確認しましょう。万が一の事故(家財の破損など)に備え、損害賠償保険に加入しているかも確認しておくとより安心です。
  • コミュニケーションの重要性: 担当者の対応が丁寧か、こちらの要望をしっかりと聞いてくれるかなど、コミュニケーションが円滑に取れるかどうかも、信頼できる業者を見極めるポイントになります。

業者に依頼する場合でも、事前に残したいものや貴重品は自分で分けておくと、作業がスムーズに進み、誤って処分されるリスクを減らすことができます。

遺品整理を放置するデメリット

故人を偲ぶ気持ちが整理できず、なかなか遺品整理に手を付けられないという方もいらっしゃいます。しかし、遺品整理を先延ばしにして放置してしまうことには、いくつかの無視できないデメリットが存在します。ここでは、主なデメリットを3つの観点から解説いたします。

故人が払っていた費用を貯めてしまうケースがある

故人が生前に契約していたサービスや、所有していた不動産に関連する費用は、亡くなった後も発生し続ける場合があります。遺品整理を放置していると、これらの費用が気付かないうちに積み重なり、後々大きな経済的負担となる可能性があります。

具体的には、以下のような費用が考えられます。

費用項目 備考
家賃・住宅ローン 賃貸物件や持ち家(ローン返済中)の場合、契約が続く限り支払い義務が発生します。
管理費・修繕積立金 マンションなどの集合住宅の場合、管理組合への支払いが必要です。
固定資産税・都市計画税 不動産を所有している限り、毎年課税されます。相続人が納税義務を引き継ぎます。
水道光熱費 契約を解除しない限り、基本料金が発生し続けることがあります。
火災保険料・地震保険料 契約期間中は保険料が発生します。解約手続きが必要です。
駐車場代 月極駐車場などを契約していた場合、解約するまで費用がかかります。
各種サービスの月額料金 新聞購読料、インターネット回線、携帯電話料金、サブスクリプションサービスなども解約が必要です。

これらの支払いが滞ると、延滞金が発生したり、最悪の場合、相続財産から強制的に徴収されたりすることも考えられます。早期に遺品整理を行い、必要な契約の解除や名義変更手続きを進めることが重要です。

犯罪や災害に巻き込まれることも

遺品が残されたままの家、特に誰も住まない空き家状態が続くと、様々なリスクやトラブルの原因となる可能性があります。人の出入りがない家は、残念ながら犯罪のターゲットになりやすい傾向があります。

具体的には、以下のようなリスクが考えられます。

  • 不法侵入・窃盗: 価値のある遺品が残されていると思われ、空き巣に狙われる可能性があります。
  • 放火: 空き家は放火のターゲットにされやすく、火災が発生すると近隣にも甚大な被害を及ぼす危険があります。
  • 不法投棄: 管理されていない敷地内に、粗大ごみや産業廃棄物などを不法に投棄されるケースがあります。
  • 建物の老朽化・破損: 定期的な換気やメンテナンスが行われないと、湿気によるカビの発生、雨漏り、建材の腐食などが進みます。台風や地震などの自然災害時に、倒壊や屋根・窓ガラスの破損といった被害を受けやすくなり、近隣に損害を与えてしまう可能性も否定できません。
  • 害虫・害獣の発生: ネズミやゴキブリ、ハクビシンなどの害虫・害獣が住み着き、不衛生な状態になったり、近隣に迷惑をかけたりすることがあります。
  • 景観の悪化・近隣トラブル: 庭の雑草が生い茂ったり、建物が著しく劣化したりすると、地域の景観を損ね、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。

これらのリスクは、遺品整理を放置する期間が長くなるほど高まります。地域の安全や衛生環境を守るためにも、早めの対応が望まれます。

特殊清掃が必要な場合はなるべく早くがおすすめ

もし故人が自宅で誰にも看取られずに亡くなり、発見までに時間がかかってしまった場合(いわゆる孤独死・孤立死)、遺体の腐敗などにより、通常のハウスクリーニングでは対応できないほどの汚損や臭気が発生していることがあります。このようなケースでは、専門的な技術や薬剤を用いる「特殊清掃」が必要となります。

遺品整理を放置し、特殊清掃が必要な状態をそのままにしておくと、時間経過とともに汚染や臭いが建材の奥深くまで浸透し、原状回復がより困難かつ高額になってしまいます腐敗臭は非常に強烈で、近隣にまで拡散し、深刻なトラブルの原因となることも少なくありません。

また、特殊清掃が必要な状況での遺品整理は、ご遺族にとって精神的負担よりも感染症など健康・衛生面から考えて避けた方がよい作業です。放置すればするほど、その精神的な負担は増大すると考えられます。

したがって、もし特殊清掃が必要な状況であると判明した場合は、一日でも早く専門業者に相談し、適切な処置と遺品整理を進めることが強く推奨されます。これにより、費用の増大を防ぎ、近隣への影響を最小限に抑え、ご遺族の精神的な負担を少しでも軽減することにつながります。

まとめ

遺品整理をいつから始めるか、その時期は状況によって様々です。諸手続きが一段落した後や四十九日法要後、あるいは相続放棄や相続税申告の期限に合わせて始めるのが一般的です。しかし最も考慮すべきは、遺族の気持ちや状況が落ち着いたタイミングでしょう。焦って進めてしまい、後で悔やむことのないようにするためです。ただし、賃貸物件の退去期限など、やむを得ない事情で早期に着手する必要がある場合も存在します。遺品整理は相続人が主体となって進めるのが基本ですが、自分たちで行うか、遺品整理業者に依頼するかは、時間、労力、費用などを考慮して判断します。遺品整理を放置すると、家賃や管理費といった経済的な負担が増え続けるだけでなく、空き家となることによるリスクも生じます。特殊清掃が必要な状況であれば、衛生面や近隣への影響を考え、可能な限り早く対応することが望ましいです。それぞれの状況に合わせた最適な時期を見極め、計画的に進めることが、失敗しない遺品整理の要点となります。

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